明治大学教職員組合ハラスメント防止ガイドライン

(2022年7月8日制定)

Ⅰ.はじめに

1. 本ガイドラインの目的

 明治大学教職員組合は「明治大学の教育と経営の民主化を促進し、その文化的発展を期すること」、「組合員の経済的社会的地位の向上を図ること」を目的に掲げ、教職員が協力して組合活動に参加しています。明治大学教職員組合の名のもとで集まり、各場面においては、指導する者と指導される者、指示する者と指示される者という関係も生じます。これが不適切な権力関係と化した場合、運動や活動の推進の妨げとなるばかりでなく、被害者の人格を著しく傷つけることにつながります。また、個人的な欲求や関心に基づく行動が、相手の運動や活動に参画する環境を害し、その人格を著しく傷つけることにもなりかねません。
ハラスメント行為は、相手の尊厳及び人格を侵害する許されない行為であり、雇用関係の有無にかかわらず、あってはならないものです。私たち自身の、明治大学教職員組合の諸活動を展開する様々な場においてこれを容認することは、当事者の活動・就業環境の悪化や士気の低下をもたらすばかりでなく、明治大学教職員組合の組織力や社会的評価を低下させ、ひいては目的の達成を明らかに妨げる結果を招きます。
明治大学教職員組合の運動のさらなる前進のために、役員を含むすべての組合員・書記局員が、明治大学教職員組合の諸活動に携わる際に形成される人間関係において、一切のハラスメント行為を容認しないこと、教員や教諭、職員は対等な立場であるという確固たる認識を共有し、ハラスメント行為の発生防止と早期の解決に積極的に取り組むことが必要です。
このガイドラインは、明治大学教職員組合のすべての役員・組合員・書記局員が一丸となり、ハラスメント行為の防止及び早期解決に取り組むために、認識すべき事項を明らかにするとともに、具体的な対応の方針をまとめたものです。明治大学教職員組合の運動・諸活動にかかわるすべての人の共有財産として、活用されることを期待します。

2. 本ガイドラインの対象

本ガイドラインは、明治大学教職員組合の加盟組合のすべての役員、組合員、書記局員、ならびに明治大学教職員組合の書記局員を対象とします。
禁止されるハラスメント行為の当事者は、①加盟組合の組合員・書記局員、②加盟組合の役員、③明治大学教職員組合の役員、④明治大学教職員組合の書記局員――であり、加害者と被害者は①~④すべての組み合わせとし、雇用契約上、または組合組織上の指揮命令関係がある場合に限定されないものとします。また、当事者のいずれかが①~④に該当し、一方が他団体の構成員、協力者、取引先など①~④に該当しない場合も、本ガイドラインに準じた対応が必要です。

Ⅱ.ハラスメントの発生を防ぐために

1. 組合役員、リーダーなどが特に注意すべきこと

明治大学教職員組合の運動・活動を進める中で指導・指示をする立場となることが多い、組合役員や各専門部の部長など活動におけるリーダーは、特に次の事項に十分に注意し、ハラスメントの防止及び被害の早期解決に率先して努めなければなりません。
 自己が所轄する組合活動や業務に従事する組合員・書記局員に対し、ハラスメントを未然に防止するよう周知徹底すること。
 自己が所轄する組合活動や業務において、ハラスメントについて問題提起する組合員・書記局員をトラブル・メーカーとみたり、ハラスメントに関する問題を当事者間の問題として片付けないよう組合員・書記局員に対して注意を促すこと。
 自己が所轄する組合活動や業務において、組合員・書記局員によるハラスメントが見受けられる場合には、可及的速やかに加害者を厳重に注意し、被害者に苦情相談制度などについて助言するなどの適切な対応をとること。あわせて、被害者の意向やプライバシーに配慮しつつ実態を調査し、上位の関係機関への報告や制裁・懲戒機関への申し立てなど、しかるべき措置をとること。

2. 組合員、役員、書記局員が注意すべきこと

すべての組合員、役員及び書記局員は、以下の事項に十分に注意し、ハラスメントの防止と被害の早期解決に努めなければなりません。

  •  ハラスメントに対する正しい認識を持った上で、自らの言動がハラスメントに該当しないか十分注意を払い、ハラスメントを行わないよう努めること。
  •  ハラスメントが相手の尊厳及び人格を侵害する重要な問題であることに鑑み、他の組合員・書記局員によるハラスメント行為が見受けられる場合には、加害者に注意を促し、被害者に苦情相談制度などについて適切に助言するなどの対応をとるよう努めること。
  •  ハラスメントについて問題提起する組合員・書記局員をトラブル・メーカーとみたり、ハラスメントに関する問題を当事者間の問題として片付けないこと。
  •  ハラスメントを受けたことを、さらに噂の対象とするなど二次的な被害を与えないこと。
  •  あなたの言動に対する受け止め方には個人差があり、ハラスメントに該当するか否かについては相手の判断が重要であることに注意すること。
  •  活動上・業務上必要な指導及び注意であっても、相手を傷つける言動にあたる場合があること。
  •  相手と良好な人間関係ができているから大丈夫だなどと思い込みをしてはいけないこと。
主な具体的な注意点は、以下の通りです。
  • 親しさを表すつもりの言動であっても、相手を不快にさせる場合があること。
  • 不快に感じるか否かには、個人差があること。
  • この程度のことは相手も許容するだろうと勝手な憶測をしてはならないこと。
  • 男性から女性に限らず、女性から男性または同性間であっても、ハラスメントが生じ得ること。
  • 相手が拒否し、または嫌がっていることが分かった場合には、同じ言動を繰り返さないこと。
  • ハラスメントを受けた者は、職務上や組織上の地位、人間関係などにより拒否することができないこと。
  • ハラスメントを行う意図はなくとも、度の過ぎた叱責及び行き過ぎた指導は、相手の人格を侵害し、意欲及び自信を失わせる可能性があること。
  • 活動上・業務上の指導及び注意は、社会通念上、活動・業務に必要かつ適正な範囲で行われている場合は該当しないが、この範囲を超える内容・状況で行われれば、相手の人格的利益を侵害する違法行為となること。
  • 活動や業務の時間外であっても、活動などの環境の延長とみられる場合、及び活動の人間関係がそのまま持ち込まれているような場合における言動は、ハラスメントになり得ること。
  • 職場や活動外におけるハラスメントであっても、職場や組織上の人間関係によって生じるものは、最終的に職場や組合における人間関係を損ない、就業環境や活動環境を害するおそれがあること。

Ⅲ.ハラスメントを受けたと感じたら

1. 基本的な心構え

ハラスメントを無視し、受け流したりするなど一人で我慢しているだけでは、必ずしも状況は改善されません。また、自らの被害を深刻なものとしないためにも、ハラスメントに対する行動をためらわないことが重要であることを認識してください。
ハラスメントに対する行動は、他に被害者が出ることを防ぎ、かつ、良好な活動環境の形成につながる有意義な行為です。明治大学教職員組合が、ハラスメントに対する行動を奨励し、支援していることを認識してください。

2. ハラスメントを受けたときに望まれる対応

相手に対して意思表示すること

あなたがハラスメントを受けたと感じたら、一人で悩まずに、相談できる人に話しましょう。そして、ハラスメントの加害者に対して、当該行為が不快感を与えるものであることを知らせるため、毅然とした態度で意思表示することが重要です。相手に不快感を与えていることを認識していない加害者も多くいます。直接口頭で伝えにくい場合は、手紙、電子メールなどを活用したり、組織の関係者や同じ活動に参加する仲間などを介して伝えることも考えられます。

専門医の診察を受けること

ハラスメントにより、メンタルヘルス不全に陥ることがあります。心身の不調を感じた場合は、早めにカウンセラーに相談したり、心療内科、精神科など専門医の診察を受けるようにしてください。

3. 事案の解決手続き

明治大学教職員組合の名のもとで集い、活動する場面においてハラスメント事案が発生した場合、第三者を交えた身近な関係者により解決に結びつけることが望ましい姿といえます。
身近な関係者とは、個人だけではなく、当事者の所属する組織(加盟組合など)や、事案が発生した活動(会議、集会、研修会など)を主管する組織(委員会・専門部)なども含まれます。
しかしながら、身近な関係者に相談しづらい、身近な関係者間では解決が難しいなどの状況も考えられることから、明治大学教職員組合は新たに「ハラスメント防止委員会」を設置するとともに、「ハラスメント相談窓口」を次の通り設けます。

(1)「ハラスメント相談窓口」

ハラスメントの内容、希望する対応方法などについて、相談を受ける窓口を以下の通り設けます。なお、ハラスメントが発生した日時、場所、内容、ほかの人がいたかどうかなどについて、記録に残したり、録音しておくと相談しやすくなります。 相談窓口は、相談者のプライバシー保護に最大の配慮をしています。あなたが相談したことが、あなたの意志に反して他に知られることはありません。安心して相談してください。

明治大学教職員組合ハラスメント相談窓口
  • 明治大学教職員組合本部
    組合書記局を相談窓口とします。
    電話= 03-3291-9897 e-mail=kumiai◆post.email.ne.jp
    ※◆を@に変えてご送信ください。
  • 外部窓口
    旬報法律事務所 (徳住堅治弁護士)
    電話=03-3580-5311
    ※「明治大学教職員組合のハラスメント相談の件で」とお伝えください。
    ※相談を受けて戴く先生の都合で、相談を直ちに受けられない場合、日時を改めて連絡をいただく場合もあります。
    相談窓口では、相談の具体的な内容について確認し、必要と判断される場合は、相談者の意向を確認しながら、解決のための手続きを行う「ハラスメント防止委員会」に事案発生を報告します。
(2)「ハラスメント防止委員会」

委員会メンバーを構成員とする「ハラスメント防止委員会」を設置します。また、必要に応じて「ハラスメント防止委員会」の構成員に外部有識者を加えることがあります。
「ハラスメント防止委員会」では、次のポイントで解決に向けた手続きを進めます。

当事者からの事情聴取などにより、事実関係を明らかにする

必要に応じて、当事者の所属する組織(加盟組合など)や、事案が発生した活動(会議、集会、研修会など)を主管する組織(専門部・各種委員会など)に解決プロセスに加わってもらう
明治大学教職員組合内の継続的人間関係および信頼関係の維持を考慮し、当事者の合意を得て、カウンセリング、説諭、調停など人間関係の調整による解決をめざす
調整手続きにもかかわらず当事者の同意が得られず、調整が不調に終わった場合、またはハラスメントが重大な場合で、かつ「ハラスメント防止委員会」が必要性を認めた場合は、加盟組合に対する統制処分、書記局員に対する懲戒処分などを勧告するための調査報告書を、「ハラスメント防止委員会」に提出することができます。
また、ハラスメントの疑いのある行為が継続している場合で、緊急性があると認められるときは、「ハラスメント防止委員会」は相談者の意見を聞きつつ、当該行為を排除するために必要な措置を臨時にとることがあります。
なお、ハラスメント防止委員会による手続きは、被害者による訴訟行為を妨げるものではありません。

Ⅳ.ハラスメントについて

本ガイドラインが防止するハラスメントとは、本人が意図するかしないかにかかわらず、他の者とりわけ下位ないし弱い立場にある者に対し、不快感、嫌悪感、威圧感、不安感、恐怖感、屈辱感などの精神的不利益を生じさせ、労働運動や活動、学習、教育、就業などの意欲を減退させ、明治大学教職員組合の活動環境、または就業環境などを悪化させる、あらゆる不適切な言動と定義します。
以下に、明治大学教職員組合の活動において可能性のあるハラスメントについて、事例を示します。
ただし、これらがハラスメントに該当し得る言動のすべてを網羅するものではなく、これら以外の言動は問題ないということではないことに留意する必要があります。また、実際にはこれに当てはまらないもの、あるいはその複合型のハラスメントもあり、出来る限り広く対応していくことが大切です。

1. セクシャル・ハラスメント(セクハラ)

活動上・業務上の地位や立場を利用して性的な関係を強要し、それを拒否した人に対して不利益を追わせること(対価型セクシャル・ハラスメント)。また、性的な関係は要求しないものの、性的な言動により働く人たちを不快にさせ、活動の環境を損なうこと(環境型セクシャル・ハラスメント)。

セクハラになり得る言動
① 性的な内容の発言

 身体的特徴や容姿の良し悪しを話題にすること。
 性的な冗談を交わすこと。
 男女交際の程度、性的な経験や性生活について質問すること。
 性的なうわさを立てたり、性的なからかいの対象とすること。

② 次に掲げる性的な行動

 性的な写真や記事が載っている雑誌などを広げて読んだり、パソコンのスクリーンに卑わいな写真を映し出したりすること。
 体を執拗に眺めること。
 食事やデートにしつこく誘うこと。
 性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙や電子メールを送ること。
 マッサージなどと称して不必要に体に接触すること。
 軽い気持ちで肩や髪、背中などに触れたり、必要以上に接近して身体を密着させたりすること。
 トイレや更衣室を覗くこと。
 性的な関係を迫ること。

③ 性別により差別する意図に基づく言動

 「男のくせに」、「女のくせに」などの発言をすること。
 相手を「男の子、女の子」、「おまえ、僕、坊や、お嬢さん」、「おじさん、おばさん」、「じじい、ばばあ」などの呼び方で呼ぶこと。
 不必要に、語頭に「男の、女の」など性別を付けること。
 体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」、「もう更年期か」などということ。
 酒席などにおいて、女性の座席を男性の隣に指定したり、お酌やダンスを強要すること。
 カラオケでのデュエットを強要すること。
 性別による役割分担を課すこと。

2. パワー・ハラスメント(パワハラ)

活動上・業務上の地位や役職などの優位性を背景に、適正な範囲を超えて精神的、身体的苦痛を与えること。

パワハラになり得る言動
①身体的な攻撃

 暴行、または傷害によって身体に対する、または身体に向けた攻撃をする行為
 叱責の際、殴る、蹴るなどの暴力を振るうこと。
 机をたたく、椅子を蹴飛ばす、書類を投げるなど感情的で威圧的な行為をすること。

②精神的な攻撃

  脅迫、名誉毀損、侮辱、または暴言によって精神的に攻撃する言動
 「辞めてしまえ」、「死んでしまえ」、「給料泥棒」など暴力的な言葉で叱責すること。
 大勢の前で個人名を挙げて非難するなど個人の人格及び尊厳を傷つけること。
 「何をやらせても駄目だ」など活動や業務の成果及び能力を否定すること。
 活動や業務上の些細な間違いに対して、「おまえは小学生か」、「やり方が本当に下手だ」などと、大声で長時間叱責し続けること。

③人間関係からの切離し

 隔離、無視などにより、メンバーを人間関係から切り離す言動
 活動上・業務上の合理性なく会議及び打合せに出席させないこと。
 仲間外れにし、無視すること。

④過大な要求

 活動・業務上明らかに不要なこと、または遂行不可能なことを強制すること。
 複数名で行ってきた大量の活動・業務を一人に全部押し付けること。
 実現不可能な期限を設定し、仕事を命じること。

⑤過小な要求

 活動・業務上の合理性なく、能力若しくは経験が要求される程度が低い活動・業務を命じ、または活動・業務を与えないこと。
 活動・業務上の合理性なく、組合員・書記局員を「できないやつ」と決めつけ、活動・業務をさせないこと。
 組合員・書記局員の評価をおとしめるため、活動上・業務上の合理性なく、単純な、または定型的な活動・業務しか与えないこと。

⑥個人的領域の侵害

 私的なことに過度に立ち入ることなどにより個人的領域を侵害する言動。
 活動・業務とは関係ない個人的な雑用を強要すること。
 飲み会などの親睦行事に強制的に参加させること。
 活動・業務上の合理性なく一身上の問題など、活動・業務以外のことに執拗に干渉すること。

3. そのほかの代表的なハラスメント

アルコールハラスメント

飲酒の強要や飲めない人への配慮をしないハラスメント。一気飲みを行わせたり、酔い潰す目的で飲酒させたりする。また、体質の問題や運転などで飲酒できない人に対して、侮辱したり酒以外の飲み物を用意しないなど。

カラオケハラスメント

カラオケが苦手・嫌いという人に、立場を利用して無理やり歌わせようとしたり、カラオケに連れて行ったりするハラスメント。

モラルハラスメント

精神的な攻撃を目的として叱責を行うハラスメント。個人の生き方や価値観に対して、自分の考えが一番正しいと相手を否定することが、モラハラ行為の特徴と言われている。

マリッジハラスメント

独身者に対して未婚を理由としたハラスメント。「結婚しないの?」「◯◯だから結婚できないんだよ」などと、任務・職務とは関係のないことで性格や能力について言及すること。

マタニティハラスメント

妊娠や出産、子育てをきっかけとして、精神的・肉体的な嫌がらせをしたり、不利益な取り扱いをしたりするハラスメント

SOGIハラスメント

性的指向や性自認に関する嫌がらせのこと。 職場で性的指向や性自認を理由に不利な待遇を強いたり、希望を聞き入れなかったりすることにとどまらず、うわさ話や陰口などで本人の心を傷つける行為などもSOGIハラに含まれます。

Ⅴ.明治大学教職員組合の書記局員について

明治大学教職員組合と雇用関係を有する書記局員については、本ガイドラインの定めと合わせて、一般の就業規則にあたる「書記局規定」により、ハラスメントに関する規定が定められています。書記局員がハラスメントの当事者となった場合は、本ガイドラインによる手続きとともに、書記局規定に定める手続きを活用することができます。

(1)ハラスメントを受けた場合

ハラスメントを受けた書記局員は、労働局または労働基準監督署に総合労働相談コーナーに申し立てをすることもできます。

(2)ハラスメントを行った場合

ハラスメントを行った書記局員は、書記局規定に定める(第34条)懲戒処分を受けることがあり、規定に定める手続きに基づき処分が科されます。

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